政府の推進する「働き方改革」として、リモートワークが注目されています。少子高齢化、女性の雇用機会創出のひとつとしてリモートワークが推進され、近年では情報通信技術の発達によりさらに広まっています。さらに、リモートワークを取り入れることで、業務の効率化や従業員のワークライフバランス促進に繋がると考える経営者も増えています。
一方で、今までオフィスに出社していたのがいきなりリモートワークで目の届かないところで働くのは、なかなか踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。今回は、リモートワークについてのメリット・デメリットを企業目線と従業員目線でご紹介します。それぞれの会社にあった働き方の参考にしてみてください。
リモートワークの働き方とは
リモートワークとは、在籍している会社に出社せず自宅やコワーキングスペース、サテライトオフィスで仕事をする働き方です。東日本大震災をきっかけに、節電啓発の取り組みとしてリモートワークが推進されてきました。その後も、2020年より新たな通信速度の5Gが普及され、自宅でも早いインターネット速度で業務が可能になりました。また、Web会議ツールも進化しノートPCだけでビデオ通話ができるようになり、よりリモートワークの後押しになっています。これからの時代では、リモートワークの求人も増えてくるでしょう。
リモートワークのメリット
リモートワークのメリットを企業側、そして従業員側の視点からご紹介します。リモートワークを検討する際、就業規則や勤怠管理を検討する際にご参考ください。
企業
- 費用削減
リモートワークは様々な固定費や諸費用の削減に繋がります。削減できる費用のうちの一つは、以前より国が推進していた「働き方改革」の節電でオフィスの光熱費や、オフィスの賃料です。企業側がリモートワークを検討する大きな要因として、このオフィス賃料削減でしょう。出社する社員が減る、又はいなくなれば、オフィスを縮小又は撤去し固定費を削減できます。また、リモートワークでの業務の際社員一人ひとりの交通費支給も必要なくなります。またリモートでの営業も増えれば、出張手当などの経費も削減になるでしょう。 - 業務のボーダーレス化
リモートワークにより業務がボーダーレス化が進み、仕事の幅が広がります。例えば、リモートワークをしている遠方との商談や海外に住む人との取引が可能となります。リモートワークを導入しているとのことで、フレキシブルに対応できるのが大きな利点です。また、リモート営業の幅が広がり顧客訪問回数と顧客滞在時間の増加、そして迅速な顧客対応が可能になります。 - 離職防止
育児・介護・病気療養などを行う社員がリモートワークで仕事を継続することができれば、優秀な人材の離職防止になります。リモートワークが導入されない場合、育児・介護・病気で離職してしまう可能性が高くその場合は新しい人材の雇用や引継ぎに時間とお金が必要となります。そのリスクを減らすためにも、経験や知識のある人材の離職防止のためにも働き方の選択肢を増やすリモートワークには大きなメリットがあります。 - 企業のブランディング・採用
政府の「働き方改革」のリモートワークを導入しているとして、他企業や消費者へのひとつのブランディングとなります。将来的に出産や子育てのライフステージでリモートワークで働きたいと思う優秀な社員などの採用の幅が広がります。またリモートワーク導入により、地域や国に絞られず多様な人材雇用が可能になります。例えば東京にしかオフィスが無い場合、リモートワークで大阪の地域に詳しい人を雇えば大阪の営業も可能になります。雇用形態の幅が広がれば、質の高い人材雇用に繋がるでしょう。 - 非常時の事業継続
地震や台風、災害、人身事故、テロ、インフルエンザなど非常事態により事業継続が難しい状況でもオフィス以外で働くリモートワーク社員がいれば非常時でも最低限の事業継続ができます。過去の東日本大震災による災害後も、政府としてリモートワークが大きく推進されてきました。非常時でも必要不可欠な業務をリモートワークで継続でき、事業利益の損失を最低限に食い止めることができるでしょう。
従業員
- ワークライフバランスの向上
リモートワークにより、自宅から働くことで通勤のストレスがなくなります。2017年にイギリスの企業や大学が合同で行った34,000人の労働者を調査したところ、通勤時間が長いとうつに悩む人が33%増え、私生活の満足度低下、精神不安が増加するという結果がでています。リモートワークで自宅で働くことで、これらの症状がなくなり、ワークライフバランスが向上するでしょう。今まで1時間以上かけていた通勤時間を睡眠や家事に費やせるため、体調管理の改善にもつながります。 - 介護・育児・病気療養との両立
経験やスキルがあっても、介護・育児・病気療養で仕事を辞めざるおえない人もいます。しかし、リモートワークという働き方があれば自宅などで自身のスキルを継続して活かすことができます。リモートワークがあれば「介護・育児・病気療養」か「仕事」どちらか一方だけでなく、両立する選択肢が可能になります。 - 仕事の作業効率があがる
オフィスにいる場合、スーツやパンプスなど衣類が制限され、クーラーの一括温度調節により体調管理が難しい人も多いのではないでしょうか。自宅の場合、自身にあった作業しやすい衣類、クーラーでの室温管理でよりよい作業効率になるでしょう。また、書類などがペーパーレス化でクラウド管理することで、フレキシブルに業務が進むでしょう。
リモートワークのデメリット
リモートワークのデメリットを企業側、そして従業員側の視点からご紹介します。リモートワークは作業効率が上がると言われていますが、一方でデメリットもあります。
企業側
- セキュリティ管理
自宅でのWi-Fiネットワークでは、企業と比べてセキュリティ対策が不十分なことが少なくないです。会社ではインターネットとの出入口にファイアウォールなどのセキュリティで守られていますが、自宅では同様の保護は中々無いでしょう。特に公共の無線LAN(無料Wi-Fi)にも十分な暗号化がされておらず注意が必要です。リモートワーク導入前に、事前に従業員のPCにセキュリティソフトウェアなどのインストールで対策しておきましょう。 - 従業員のITリテラシー
従業員のITリテラシーも十分に教育が必要となります。たとえば、カフェや電車、屋外で業務をする際他人ののぞき見に寄る情報漏洩などです。IDやパスワード、個人情報が漏洩する恐れがあるため屋外での業務を控えるかのぞき見防止フィルターを従業員に配布しましょう。ドキュメントには必ずパスコードをつけたり、ログインパスワードを一か月ごとに変えるなど明確なルールを儲けてトラブル回避への対策をしましょう。 - 従業員の勤怠管理
企業でチームや上司から離れて一人で業務をすることとなるので、一定の引退管理のルールを儲けましょう。自宅で時間管理の難しい中でも勤務への線引きは大切です。勤怠管理システムを導入して、きちんと仕事時間の管理をしましょう。
従業員
- 孤独感
一人暮らしでリモートワークをする際、周りの従業員とのコミュニケーションが難しくなります。確かに作業は進みますが、仕事仲間との雑談や笑顔、人と人とのふれあいがなくなり「さみしい」と「孤独感」を訴える人もいるでしょう。雑談が多いチームは創造性や生産性が高いという調査もでています。リモートワークで社員のメンタルヘルスを維持するためにビデオ会議ツールなどを使って、顔が見れるコミュニケーションを図りましょう。 - 自己管理
自宅で一人で仕事をするとなると、自己管理がより難しくなります。働きすぎや休憩の取りすぎで休憩時間や退勤時間があやふやになってしまう危険もあります。時間のオンオフができるよう前述したような勤怠管理システムの導入をし、時間のけじめが必要になります。 - 作業環境の確保
自宅で業務をすると、十分な作業環境が必要となります。例えば作業をするのに必要不可欠になる机と椅子です。オフィスでは作業するのに十分な機能の机と椅子が用意されていますが、自宅で座椅子や床に座りながらの作業は体を痛めてしまいます。自宅でもきちんとした机と椅子の用意が必要となります。また、企業のノートパソコンを使用する際、自宅でのWi-Fi環境も必要不可欠です。
まとめ
リモートワークには多くのメリットもありますが、同時に抱えるデメリットや課題も複数あります。ご紹介した課題の対策を対応士ながら、柔軟に対応していくことが大切です。今後の評価基準や就業規則に取り入れてみてください。リモートワークでのご相談がある際はお気軽にご連絡ください。