新型コロナウイルスの感染が広がった2020年2月以降、日本政府は入出国に関する渡航の制限を行ってきました。同年6月18日、日本政府は一般的な国際的な往来とは別にビジネス上必要な人材の出入国についての枠組みを設置しました。
渡航規制の緩和:「ビジネストラック」と「レジデンストラック」
現在日本では、新型コロナウィルスの感染拡大を防止する対策として、159ヶ国と地域からの外国人の入国を禁止しています。そのような中で2020年6月18日に決定したビジネス人材の渡航緩和により、現在では日本と日本政府指定国との間でビジネスを目的とした往来の規制緩和がされています。
今回の規制緩和では、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾が対象となっており、同時に発表された「レジデンストラック」「ビジネストラック」と呼ばれる2つのスキームを通して渡航が可能となりました。
10月30日更新:「感染症危険情報の引き下げ」
令和2年10月30日、外務省は、 韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国(香港、マカオ含む)、ブルネイ、ベトナムの9か国・地域について感染症危険情報のレベル3からレベル2への引き下げました。それに伴い、これら9か国・地域については、11月1日以降に本邦に帰国・入国する際の水際措置が以下のとおり変更されました。
- 当該地域からの帰国・入国の際、国籍にかかわらず、これまで必要であった本邦入国時の新型コロナウイルス感染症の検査が原則不要
- 外国人の新規入国及び再入国の場合、出国前72時間以内に受けた新型コロナウイルス感染症の検査証明を入国時に提出することが原則不要(ビジネストラック及び日本在住ビジネスパーソンの短期出張スキーム利用者を除く。)
- 現在既にビジネストラックが運用されている韓国、シンガポールからビジネストラックにより、本邦に帰国・入国する際の手続も変更
10月30日更新:「感染症危険情報の引き上げ」
令和2年10月30日、外務省は ミャンマー及びヨルダンの感染症危険情報レベル3への引き上げ、11月1日以降に日本に帰国・入国する際の水際措置が以下のとおり強化されます。
- 日本人を含む全ての本邦入国者が、空港での新型コロナウイルス感染症の検査の対象となります。
- これら2か国から入国する外国人については、原則入国拒否になりますが、特段の事情により入国、再入国する場合には、出国前72時間以内に受けた新型コロナウイルス感染症の検査証明を入国時に提出することが新たに必要となります。
参考ページ
外務省:感染症危険情報の変更及びそれに伴う水際措置等手続の変更について
ビジネストラックとレジデンストラックの対象者
ビジネストラックとレジデンストラックの共通する対象者と違いです。
- 短期滞在以外の全ての在留資格又は短期商用査証により日本に入国する者。
- 日本又はスキームの対象国にする居住者(第3国国籍を含む)で、日本とスキーム対象国の航空便を利用する者。(補足)
ビジネストラック | レジデンストラック |
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(補足)日本又はスキームの対象国在住の外国人がビジネスで他国へ出入国する場合
日本とスキーム対象国との間で出入国する際、渡航者が日本国又は渡航国の国籍でない場合でもビジネストラック/レジデンストラックを利用できます。例えば、現在アメリカはビジネストラック/レジデンストラックが適応されていませんが、日本に住むアメリカ人がビジネストラックでシンガポールに行くことは可能です
しかし、スキーム対象国の国籍を持つ渡航者でも渡航先がスキーム対象外の場合、ビジネストラック/レジデンストラックで渡航することはできません。例えば日本に住むマレーシア人がアメリカに渡航はできません。
レジデンストラック
レジデンストラックとは、入国後14日間の自宅待機は維持しつつ、双方向の往来を再開するスキームです。
主な対象者は海外長期滞在者(駐在員や派遣員など)です。
9月25日に日本政府は10月1日からビジネス上必要な人材に加え順次、留学や家族滞在などの新規入国許可も決定しています。
対象国:タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、韓国、ブルネイ
手続きなどの参考ページ
外務省:入国拒否対象の国でのビジネストラック/レジデンストラックについてて
外務省:入国拒否対象に指定されていない国でのビジネストラック/レジデンストラックについて
レジデンストラックを通して「外国人が日本に入国」する場合
必要書類
-
- 査証申請書(顔写真貼付)
- 検査証明(又はその写し)
- 誓約書(外国人レジデンストラック)写し2通
- 質問票(入国便の機内において全乗客に配布されます。)
その他必要手続き
-
- 出国・出域前14日間の健康モニタリング
- 入国時までの民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)への加入
- 入国後14日間のLINEアプリを通じた健康フォローアップ
- 接触確認アプリの導入
- 入国後14日間の既存の地図アプリを通じた位置情報の保存
レジデンストラックを通して「日本人が海外に出国」する場合
日本人が海外へ渡航する際には、別途当該対象国・地域の定める手続きが必要となります。詳細については各国大使館ホームページをご確認ください。
必要書類
-
- 質問票(入国便の機内において全乗客に配布されます。)
- 他、渡航国が定めるもの
その他必要手続き
-
- 対象者は、本邦帰国時に、「質問票」を空港の検疫に提出
- 他、渡航国が定めるもの
ビジネトラック
ビジネストラックとは入国後14日間の自宅等待機期間中も行動範囲を限定した形でのビジネス活動を可能とするスキームです。
対象者は主に短期出張者で、特にシンガポールとの間では、本スキームの利用者の渡航先における滞在期間は30日以内に限定されます。
手続きなどの参考ページ
外務省:シンガポールのビジネストラック/レジデンストラックについて
ビジネストラックを通して「外国人が日本に入国」する場合
必要書類
-
- 有効な査証(又は有効な再入国許可書(みなし再入国許可を含む。)
- 検査証明(又はその写し)(出国前72時間以内(注)の検査の結果に基づいたもの)
- 誓約書(外国人ビジネストラック)写し2通
- 本邦活動計画書 写し2通
- 質問票(入国便の機内において全乗客に配布されます。)
その他必要手続き
-
- 出国前14日間の健康モニタリング
- 入国時までの民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)への加入
- 入国後14日間の受入企業・団体による健康フォローアップ
- 接触確認アプリの導入
- 入国後14日間の既存の地図アプリを通じた位置情報の保存
ビジネストラックを通して「日本人が海外に出国」する場合
必要書類
-
- 誓約書(日本人ビジネストラック)写し1通
- 本邦活動計画書 写し1通
- 「検査証明」(又はその写し)(出国前72時間以内の検査結果)
- 質問票(入国便の機内において全乗客に配布されます。)
その他必要手続き
-
- 出国前14日間の健康モニタリング
- 入国後14日間の受入企業・団体による健康フォローアップ
- 接触確認アプリの導入
- 帰国後14日間の既存の地図アプリを通じた位置情報の保存
レジデンストラック、ビジネストラックの最新情報や詳細な手順については以下の外務省ぺージよりご参照ください。
参考:
外務省:入国拒否対象の国でのビジネストラック/レジデンストラックについてて
外務省:入国拒否対象に指定されていない国でのビジネストラック/レジデンストラックについて
外務省:シンガポールのビジネストラック/レジデンストラックについて