バイリンガル人材とは?必要な能力とは?

近年、日本市場ではバイリンガル人材の需要が高まっています。「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(日本貿易振興機構)によると、3,000以上の会社のうち54%もの企業が「海外ビジネスを担う人材不足」が課題と答えており、まだまだ海外と日本を繋ぐ人材が必要とされています。日本国内でもグローバル化が進み、時代に即した知識と素養、考え方をもった人材が求められてきます。

一方で「どのようにしたバイリンガル人材になれるのか」、「バイリンガル人材のなりかた」などが不明瞭な方も多いともいます。そのような方のために、今回はバイリンガル人材になるために必要なものについてご紹介します。

バイリンガル人材とは?

バイリンガル人材の定義

バイリンガル人材とは一般的に2つの言語を話す人材という意味で使われます。また、EPSが紹介するバイリンガル人材に関しては、複数言語を話せるだけでなく、同言語を話せる相手であればどのような相手でも円滑なコミュニケーションが取れる人材と定義しています。

複数の言語を操れる事からバイリンガル人材は、異文化への理解が必要される国際ビジネスでの架け橋として期待される場面も多くあります。

バイリンガル人材が注目されている背景

技術の進歩によってボーダーレス化が進んでいる現代では、国境を越えて事業を行う企業が増加しています。このボーダーレス化が進むにつれ、言語の壁を超えたビジネスを可能にするバイリンガル人材の需要も高まっています。

日本国内で産まれた新しい技術やサービスを世界に発信すると共に、世界の情報を一早く入手できるバイリンガル人材は、今後さらに加速するボーダーレス化した国際社会の中で企業が生き残る為の重要な役割を果たす人材となります。

バイリンガル人材に必要な能力は?

これからを担うバイリンガル人材ですが、優秀なバイリンガル人材にはどのような能力が必要とされているのでしょうか?

複数言語を使った高いコミュニケーション能力

バイリンガル人材になるうえで、語学力は必須です。しかし、ただ資格をとったり試験で高いスコアを取るだけでは実際のビジネスで活かすことは難しいです。「英語ができる=バイリンガル人材」というわけではないので注意しましょう。バイリンガル人材に必要な語学力とは、ビジネスパーソンとして他言語話者と円滑なコミュニケーションが取れる人のことです。文法や単語を知っているだけで、ビジネスをする上で活かせないと意味がありません。他言語を用いたネゴシエーションやプレゼンテーションスキルが必要不可欠になるでしょう。

多様性

多様性とは、自分以外の文化や歴史、価値観へ理解をし受け入れることです。ここで重要なのが、ただ異なる文化を学ぶだけでは「多様性」といいません。自分とは違う相手を受け入れて尊重し互いに歩み寄れる方法を模索したり、多様な価値観で衝突する中から新しい価値を創造することをさします。言語という架け橋を用いて、世代、年齢、性別、国籍、歴史、宗教、出身、見た目など違いを認めてリスペクトしあうことが、バイリンガル人材として様々な環境で活躍するうえで求められるでしょう。

コミュニケーション力

ビジネスの世界では、基本的に「人と人」で成り立っておりコミュニケーション能力が常に必要となります。語学力や業界知識、異文化理解があっても、それらを適切に使いこなして相手に伝えるコミュニケーション能力が携わってないと、ビジネスもうまく前進しないでしょう。バイリンガル人材は往々にして、海外との架け橋だったり言語の壁を超えたやり取りを期待されています。そのため相手が日本人だけでなく、様々な海外の人とも円滑なコミュニケーションが取れるよう、知識を土台として実践能力が大事になります。

専門性

自身の業界や事業についての専門性も大切です。企業がバイリンガル人材にマニュアル道理の機械的な仕事を求められることはないでしょう。常に自分の領域に関して情報をアップデートしていき、専門知識を磨くことでより顧客は信頼し円滑なビジネスを進めることができます。

各能力の伸ばし方

語学力

ビジネスにおいて重視される語学力とは、チームに適格な指示を出してうまくマネジメントをしたり、メンバー全員をおなじ目標に向かわせたり、ビジネス交渉で良い商談結果を得られることです。そのため、高得点の試験や難解単語だけではビジネスでの語学力がるとはいえません。もちろん単語や熟語などの基礎力向上も大切ですが、それらをビジネスシーンでのフレーズ化を行いましょう。LingualBusinessという国際的に知名度のあるビジネス英語検定もあるので受けてみてもよいでしょう。電話対応や資料作成、プレゼンテーション、上司への報告書類などビジネス上で使う単語やフレーズをインプットし、ロールプレイでアウトプットして定着させることが大切です。また、オンライン英会話など実践感覚でローカルの人と話せる練習になるでしょう。

多様性

多様性とは異文化や他の価値観、歴史を学ぶだけでは身についたとは言えません。多様性を身に着ける第一歩は、現在の居心地の良い同じ環境にとどまるのではなく、今の環境を越境して新しい場に身を置き、今までと違う価値観や文化に触れることです。私たちの思考や行動には無意識のうちに既成概念(バイヤス)がかかっています。そのため、今まで自身が持っていなかった価値観に直面すると、違和感だったりストレスを感じたりするでしょう。これはごく当たり前の感情であり、これらのバイヤスを感じたら、まず自分がバイヤスを感じている自覚をしましょう。これにより、自分が新しい価値観についてどう思っているのかを客観的に考えることができ、相手の価値観を少しずつ受け入れることができます。例えばインドでは食事の際直に手を使って食べます。私たち日本人は、常に箸を使って食事をしているのでこのような新しい価値観に最初は驚くと思います。もしかしたら、不衛生だとストレスを感じる人もいるかもしれません。しかしこれはインド人にとっての価値観であり、ましてや他の人に強要しているわけではありません。彼らは彼らの価値観として受け入れること、これが多様性への一歩です。このように新しい文化や価値観、歴史、考え方に触れて様々な多様性を体験していきましょう。

コミュニケーション力

ビジネス上を円滑に進めるだけでなく、人間関係にもコミュニケーションは大事になります。ひとえにコミュニケーション能力、といっても数値ができるものでもなく、試験や資格があるわけではありません。コミュニケーション能力とは、対話した相手からの評価が全てになります。「この人と話してよかった」「この人になら信頼して任せられる」と感じる相手が、コミュニケーション能力が高い人でしょう。この能力を伸ばすには、「人の話を聴く」「伝える言語力」「人の心理を汲み取ること」が大切になります。例えば初対面の相手だったら、まず相手の話を聞き自分との共通点を見つけると相手と親近感を沸くことができます。出身や、好きな食べ物、趣味、文化など幅広い知識を持っていると相手との共通の話題を作ることができるでしょう。海外の人とコミュニケーションを取る場合、歴史や文化、世界情勢なども共通の話題として話がはずみ、信頼関係につながります。これらの知識をインプットして、状況に応じて交流の武器にするのがコミュニケーション能力向上への一歩です。

専門性

高い専門知識を持っていると、ビジネスの相手や社内でも大きな信頼を得られるでしょう。専門分野の学び方はそれぞれ違いがあると思いますが、常に最新の情報をインプットしどこかでアウトプットする場を設けるとより知識に定着しやすいです。例えば学んだことをシェアする社内ピッチや勉強会を開いて他の社員に教えたりすることで、自身の振り返りだけでなく社内全体のナレッジが溜まっていきます。社内報などに文字としてまとめてシェアするのも一つの方法です。

バイリンガル人材のキャリアについて

バイリンガル人材になり、将来どのようなキャリアアップをするのか悩んでいる人、分からな人も多いと思います。今回は語学に特化したものか専門分野で活かすものか分けてご紹介します。

語学力に特化

語学力を追求し、言語特化した人のバイリンガル人材は、通訳、翻訳、教育現場、観光ガイドなどの仕事があります。スピーキング力、リスニング力、その場の臨機応変さも必要となり、常に英語の能力研磨が必要となります。

語学力を専門分野の中で活かす

語学力に加えて専門分野を活かす仕事もあります。例えば外資系企業で第2言語を用いて営業・マーケティング・広報・労務などに携わる仕事もあります。そこでは英語をツールにして、それぞれの職種の専門分野を極める仕事になります。他にも、国際秘書・貿易事務・通関士・外交官など資格が必要になる職もあります。

バイリンガル人材の落とし穴

ただ語学力を伸ばすだけでは、バイリンガル人材とは言えません。語学力はあくまでもビジネスをする上でのツールであり、土台として専門知識や業界知識、コミュニケーション力、公職能力などが必要不可欠となります。語学ばかり伸ばすのではなく、ビジネス現場で求められる能力も一緒に磨いていきましょう。

まとめ

バイリンガル人材に必要な能力や伸ばし方についてご紹介しました。ボーダーレスな社会がこれからもどんどん発展し、バイリンガル人材の需要も伸びていくでしょう。そのための準備をしっかりし、バイリンガル人材の一人となってください。