人事が履歴書で外国人の日本語力を推測するポイント

近年、外国人を雇う日系企業が増えています。厚生労働省によると、2018年 10 月末の外国人労働者数は 1,460,463 人でした。この数字は前年2017年の181,793 人から14.2%の増加となります。

日本語が喋れるバイリンガル外国人を採用する際、まず人事は候補者の日本語能力を確認する必要があります。しかし数多くの履歴書の中から、日本語能力を推測して、面接する優先順位を決めるには時間と労力がかかります。今回は履歴書からバイリンガル外国人の日本語力を推測し、選定するポイントをご紹介します。

※本記事は履歴書の情報のみで候補者の日本語スキルを推測するものです。候補者の本来の日本語スキルは実際に面談をし、日本語を使って話したときにわかります。今回ご紹介するのは日本語が堪能な候補者を見落とさない方法ではなく、多くの履歴書の中から面談へ進める候補者の優先順位を決めるポイントです。

日本語力を推測するポイント

日本での滞在歴

候補者の履歴書を確認する際、一番にチェックするのは日本での滞在歴です。

候補者が過去にどのくらいの期間日本にいて、何をしていたかを確認します。確認すべき優先順位は、以下の通りです。

  • 日本での職務経験
  • 留学やインターンシップでの長期滞在
  • 留学やインターンシップでの短期滞在

日本での職務経験はビジネスレベルでの日本語力を期待できます。日本語で外部とのやり取りや営業などが必要なポジションの場合は貴重な経験です。また、日本国内の外資系企業より日系企業での職務歴の方が日本語の語学力が高いことが多いです。

留学やインターンシップでもビジネスレベルに届かないまでも、社内の日常会話レベルの語学力や日本企業の環境への適応力は高いと期待できます。留学の中でも、大学間で行われる正規留学の場合英語のプラグラムもきちんと組み込まれているため、より高い語学力を培っていることが多いです。

短期滞在の場合簡単な日常会話レベルになることが多く、主に社内でのコミュニケーションは可能です。

日系企業での業務歴

日本国外での日系企業の業務歴を確認します。

特に、大手ではなく中小企業の日系企業の場合まだローカライズされず社内に日本語でのオペレーションが残っていることがあります。その場合候補者が社内で日本語に触れる機会が多く、日本語レベルが高い可能性があります。このような日系企業での業務歴がある際、営業や資料作りの日本語力や日系企業のカルチャーでも仕事ができると期待できます。

日本語能力検定の資格

日本で働く外国人は、多くの場合が日本語能力試験(JLPT)で日本語スキルの熟練度をはかります。

日本語能力試験は、5段階の級(N1~N5)に分かれておりN1が一番熟練度が高いです。

N1 抽象度の高い文章が理解できる。
幅広い場面で自然なスピードでの会話ができる。
N2 新聞や雑誌の開設、小論など明快な文章を読んで理解することができる。

より幅広い場面で自然に近いスピードでの会話ができる。

N3 日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を理解できる。
日常的な場面で、やや自然に近いスピードでまとまりのある会話ができる。
N4 基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常世界つに身近な文章を理解できる。

日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話を理解できる

N5 ひらがなやカタカナ、日常的に使われる基本的な感じで書かれた典型文を理解できる。

身の回りな日常生活でよく使う短い会話を理解できる

(参考:https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html

就業の際、社内で日本語の会話をしたり資料を作るためN2以上の資格を持った人が好ましいです。しかし、N2を保持していても社外営業や会議などの外部と関わるの日本語力が無い場合もあります。

弊社が様々なバイリンガル外国人と面談した肌感覚では、社外の人としっかり営業や会議ができるのは実践経験のあるN2かN1と感じています。

大学などの語学クラスでの日本語クラスの受講

大学や語学学校などで日本語の選考をしている場合、どのレベルまで学習していたか確認します。

大学などで学んでいる候補者は、日常的な日本語と最低限のひらがなや漢字の読み書きができることが期待されます。

候補者の本来の日本語力を知るためには、実際に話すことが必要不可欠です。しかし、多くの履歴書から優先順位を付けて面談をする人を決めるために、今回のポイントを参考にしてみてください。